子どもの近視の進行を抑制する点眼「リジュセアミニ点眼薬0.025%」
2025年4月21日に、子どもの近視の進行を抑制する点眼「リジュセアミニ点眼薬0.025%」が発売されました。リジュセアミニ点眼薬は、参天製薬がシンガポールの国立眼科・視覚研究所であるシンガポールアイリサーチインスティテュート(SERI)と共同開発した、アトロピンを0.025%含有した点眼薬です。マイオピンと同じ低濃度アトロピン製剤であり、近視の進行抑制を効能・効果としています。
マイオピン点眼薬0.025%は国内での販売は終了予定です。マイオピン点眼薬0.01%については引き続きお取り扱いを行います。
リジュセア®ミニ点眼液0.025%による近視進行抑制治療について
リジュセア®ミニ点眼液0.025%よる近視進行抑制治療については、発売前の臨床試験において、点眼を行わない場合に比べて、小児の屈折値の進行や、眼軸長の伸びを抑制することが確認されました。主な副作用として羞明(まぶしさ)があります。
本治療は、近視の進行を抑えることを目的としています。ただし、完全に近視の進行を止めることはできません。また、この治療は視力を回復させるものではありませんので、その点をご理解ください。
近視の程度に応じて眼鏡等での視力矯正が別途必要となります。

近視の進行を抑制することが大切な理由
子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピントの位置ずれが生じるケースが多くあります。近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることはありません。そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。 また、近視は高度な近視の場合、回復不可能な視力低下、黄斑変性症、網膜剥離、または緑内障に発展する可能性もあるといわれています。リジュセアミニ点眼薬は、眼軸長を伸展させる働きに関連するムスカリン受容体をブロックする効能があると言われています。


リジュセアミニ点眼液とマイオピンの違い
今回発売されたリジュセアミニ点眼液は、参天製薬とシンガポールアイリサーチインスティテュート(眼科領域および視力研究を目的としたシンガポールの国立研究所)により共同開発されました。今まで子どもの近視の進行を抑制する点眼として、マイオピン0.01%と0.025%が国内では流通していましたが、参天製薬が開発したリジュセアミニ点眼液はアトロピン濃度が高い0.025%を採用しています。3年間の治験では近視進行抑制効果が持続することが確認されています。
このリジュセアミニ点眼液とマイオピンの違いは、リジュセアミニ点眼液は1回分ずつ容器にパッケージされ使い捨てになっていることです。参天製薬が得意とする製造技術を使用しています。使い捨てパッケージにすることで、防腐剤を入れなくても長期保存が可能になりました。リジュセアミニ点眼液は、5歳から18歳くらいまで長期の使用が想定されます。点眼薬に入っている防腐剤は短期なら問題になりませんが、何年にもわたる長期使用の場合は、角膜に影響を及ぼす可能性があります。このリスクを考慮して防腐剤フリーになっている点が優れた特徴です。
リジュセアミニ点眼薬の効果
3年間の使用で近視の進行を軽減させるデータが参天製薬の臨床試験からわかっています。
リジュセアミニ点眼液0.025%−プラセボ切替群の投与36ヵ月後における調節麻痺下他覚的等価球面度数の投与24ヵ月後からの変化量は、プラセボ継続群に対して有意差が認められました。

リジュセアミニ点眼液の副作用
問題となる副作用はほとんどないことがわかっています。低濃度アトロピンの副作用は、アトロピンの散瞳効果と調節麻痺効果によるしまぶしさ(羞明)と手元のぼやけがありますので、必ず就寝前に点眼するようにしてください。しかし、濃度が低いため程度は軽く、長時間続かないため、寝る前に使用すれば日中への影響は少ないことがわかっています。
リジュセアミニ点眼液の国内治験の結果では、9.0%(11/122
例)の子が羞明を訴えました。また、一部の子にアレルギー性結膜炎によるかゆみがでることがわかっています。点眼後、まぶしく見えたり、一時的に目がかすんだりすることがあります。
リジュセアミニ点眼液の対象となる方
- 就寝前の点眼が毎日可能な方
-
軽度から中等度程度の近視で5歳~18歳の方
18歳を過ぎても近視は進行しますので適応となる場合があります。 -
3か月ごとの定期的な通院が可能な方
検査・診察による治療効果判定のほかに合併症が生じていないかのチェックも行います。年齢にもよりますが3年以上の継続をお勧めします。当院では、まず3年間使用していただき、効果判定をしながら治療の継続の可否について、ご相談させていただいています。
リジュセアミニ点眼液の使用方法
- 夜、寝る前に点眼(1滴)します。
- 1回分(1本分)の容器を切り離してください。
- 容器の薬液が入っていない部分を持ち、容器の先端をねじって取り外してください。
- 下まぶたを軽く下にひき、まぶたやまつ毛に触れないように1回1滴点眼してください。
- 点眼後はまばたきをせず、しばらく(1~5分)まぶたを閉じて目頭のやや鼻よりを指先で軽く押さえます。あふれた液があれば、清潔なガーゼかティッシュで軽く拭き取ってください。
- 他の点眼剤と併用する場合は、5分以上の間隔をあけてください。
- 防腐剤を含まない1回使い捨てタイプですので、点眼後1度容器の先端を取り外したものは、薬液が残っていても点眼せず必ず捨ててください。
リジュセアミニ点眼液の費用
リジュセアミニ点眼液は厚生労働省から認可されて点眼液ですが、保険適応ではなく自費診療としての処方となります。
健康保険や医療費助成制度は適応されません。
初回は7本の処方になります。
治療スケジュール | 費用(税込) |
---|---|
初回 |
診察・検査費用(1.100円) +点眼薬費用(980円/7本) |
2回目 (初回から1週間) |
診察・検査費用(1.100円) +点眼薬費用(12,600円/90本) |
3回目 (初回から3カ月後) |
診察・検査費用(1.100円) +点眼薬費用(12,600円/90本) |
治療の流れ
初診・診療開始
- 初診・治療開始問診、検査の上診断。自由診療の内容に同意が得られれば点眼薬を処方し、治療を開始します。通常、1日1回、就寝前に点眼します。
再診(2回目)
- 治療開始から1週間後に効果、眼の状態、使用状況に問題がないことを再診で行います。3回目以降:基本、3ヶ月に一度定期検診を実施いたします。